HACCP(ハサップ)とは?

2020年6月より食品業界で義務化されるHACCPハサップ)についてのご紹介!

 

HACCPハサップ)とは?

HACCPとは「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という言葉の略語で、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法のことを言います。日本語ではそのまま「危害分析重要管理点」と訳されます。HACCPは、食品の製造・出荷の工程で、どの段階で微生物や異物混入が起きやすいかという危害をあらかじめ予測・分析して、被害を未然に防ぐ方法です。この点がそれまで行われていた製品の抜き取り検査による安全確認とは大きく違うところです。

HACCPはアポロ計画が進められていた1960年代、宇宙食などの食品の安全性を確保するためにNASA(アメリカ航空宇宙局)を含むアメリカの各機関によって構想されました。その後、1973年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が缶詰食品の製造基準として取り入れたのをきっかけに普及がはじまりました。

Hazard Analysis Critical Control Point

厚生労働省農林水産省

 

HACCPの12手順と7原則

食品を取り扱う会社がHACCPを導入する際には、12の手順を踏まなければならないと決まっています。なかでも手順6から手順12までは特に重要で、「HACCPの7原則」と呼ばれています。

手順1:HACCPのチームを編成する
手順2:製品の名称や種類、原材料、添加物などを記述する
手順3:製品を加熱して食べるのか、そのまま食べるのかといった用途や、主に誰が食べるのかという消費者を確認する
手順4:原材料の仕入れから最終製品の出荷まで製造工程の一覧図を作成する
手順5:製造工程一覧図が現場の認識とズレがないか確認する
手順6(原則1):各工程で危害要因になりそうなものを洗い出して分析し、対処方法を検討する
手順7(原則2):加熱殺菌や金属探知など危害要因を取り除くための重要管理点(CCP)を決定する
手順8(原則3):CCPが適切に制御されているかどうかを判定するための管理基準(CL)を設定する
手順9(原則4):CCPが適切に管理されているかどうかを確認するためのモニタリング方法を設定する
手順10(原則5):モニタリングした結果、CLから外れているときに行う改善措置を設定する
手順11(原則6):HACCPが適切に機能しているかを確認するための検証方法を設定する
手順12(原則7):HACCPを実施したことを記録に残し、保存するための方法を設定する。そのことでどの工程で問題が生じたのか、ひと目でわかるようにする。

 

HACCPを導入するメリット

上記の手順を見ればわかるようにHACCPは合理的な衛生管理方法です。そのため、HACCPを導入すると次のようなメリットがあるとして国際的に評価されています。

・働く社員の衛生管理に対する意識が向上する

・製品に不具合が発生したときに、原因追及と改善対応が迅速に行えるようになる

・事故やクレームが減少する

・企業のイメージが良くなり、顧客の信頼度が上がる

・生産性が向上し、利益が拡大する

 

HACCP認証とは? どんな種類がある?

続いてはHACCPの認証制度についてお伝えします。日本にはHACCPに関係した認証制度がいくつか存在しています。

 

HACCP認証とは?

HACCP認証とは、自社の衛生管理システムとしてHACCPがしっかり機能しているということを第三者から評価してもらうための制度です。合格した企業には認証機関から「HACCPマーク」が与えられます。認証機関は一つではなく、日本国内に複数の機関が存在しているため、表示しているマークのデザインもそれぞれ違います。

HACCP認証機関の代表例

日本国内には次のようなHACCP認証機関があります。

総合衛生管理製造過程

厚生労働省が食品衛生法によって定めているHACCP認証で、「乳」「乳製品」「食肉製品」「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」「魚肉練り製品」「清涼飲料水」の6つの製品に限り、取得することができます。

業界団体認証

適用の範囲が特定の業界・業種に限られているHACCP認証です。

地域認定HACCP

各自治体が独自に定めた基準で審査を行っているHACCP認証です。中小の食品会社でも取得しやすいという特徴があります。

 

HACCPを導入して、世界基準の衛生管理システムを!

食品業界が衛生管理に神経質になるのは、ちょっと異物が混入していただけで、その企業を揺るがす大問題に発展しかねないからです。食品を扱う工場でも、徹底した衛生管理体制が取られています。HACCPはそんな衛生管理システムの一つです。アメリカでは食肉や水産食品などはHACCPが義務付けられています。EUでも同様に食肉や水産食品の製造工程でHACCPが導入されています。日本でもいろいろな企業がHACCPを導入し、製品の品質を安定させ、不良品の出荷を未然に防ぎ、問題が発生したときの原因追及に役立てています。今度スーパーなどに買い物に行ったとき、どんな商品にHACCPマークが付いているか確認してみてください。